管理人のブラジル回想記

No1

 

そして、暑い夏、怪しい二人組が声をかけてきた。

ニューヨークヤンキースのシャツと神風のTシャツ。いかにも怪しい…。

『ケンカ売られるかな…』と頭の中をよぎる。

 

次の瞬間、耳を疑った。

怪しい二人組1、『ブラジルジンデスカ…?』

僕、『日本人ですけど…?』

 

なんと近所に住む、日系3世のブラジル人だった。

友達もいないし、ボールが蹴りたくても蹴れない。

それで公園で一人で毎日ボールを蹴っている僕に声をかけてきたという。

 

セイジとヒロイシといった。

セイジは2つ下。ヒロイシは1つ上。

歳も近いし、とけ込むのに時間はかからなかった。

日本語は片言だけれど、それからはほぼ毎日ボールを蹴った。

12〜3人集まり毎日ゲーム。そのとき夏休みだったこともあり、小学5年生から30歳のブラジル人ジーバまで、芝生の公園でひたすら夕方6時からボールが全く見えなくなる8時ぐらいまでボールを蹴っていた。

 

一番日本語が達者なセイジが、『日本にはフッチボウ・デ・サロンないの?』と聞いてきた。

『ああ、サロンフットボールね』

当時はフットサルという言葉がメジャーではなかった。

 

夏休みが終わると共に、公園でミニゲームをすることが出来なくなった。

また、一人の練習か…と思うと、正直寂しかった。

 

そんな時、セイジのひと言を思い出した。

 

続く