管理人のブラジル回想記

 

No16

サントス対コリンチャンスは前述したとおり。

サントス対パルメイラスで、あのロベルト・カルロスを見た。

左利き、弾丸のように左サイドを駆け抜け、FKは見たこともないぐらいのスピード。

こういう奴がセレソン・ブラジレイラ(ブラジル代表)になるんだろうな…と思っていた。

今になると、世界のロベルト・カルロスだった。

 

サポーター達はクラシコでは狂う。

パルメイラスのサポーター、パルメイレンセは、3点のビハインドを負った途端、サンチスタに向かって手製の爆弾を投げ入れた…。

目の前で血だらけの人が警察に運ばれる…。

サンチスタは、パルメイラスの横断幕を破り始め、逆にボルテージが上がる。

3−1、サントスの完勝。

同行してくれたジョルジさんが、『危ないから、早く帰りましょう…』と小走りで出口へ急ぐ。

スタジアムの外では、パルメイレンセがサンチスタに向かって石を投げていた…。

 

一方、クラシコ以外のカードでは和やかムード。

試合開始の30分前でも、サポーターは騒がない。

フェフォビアーリアとの試合、ジオバンニのゴールで辛勝したサントス。

サポーターも少々ブーイングをしていたが、おとなしかった。

 

どちらにしても、ブラジル人はサッカーと音楽が無いと生きていけないんだろうと感じた。

女の子だって、本気で贔屓のチームのユニフォームを欲しがる。

観光バスに乗った子供達は、窓から手を出し、バスの車体を叩きながら唱う…。

 

『サ〜〜〜ン、ト〜〜〜ス!』

後に日本のテレビでその声を聞いてしまい、一人涙ぐんでしまったのを覚えている。

スタジアムは、一種のライブ会場となるのだから。

 

ホテル・カラベラスのチウ(おじさん)は、頭がはげ上がったコメディアン風。

夜に店番をするヴァウテルは、パラナから来た色男風。

インチキクサい奴も住んでいる、ホテルだったけど、物が無くなることもなかったし、落ち着く場所だった。

 

砂浜を走れば、『金好きの日本人め!』と敵対心むき出しのホームレス風のおばさんに罵声を浴びせられたこともあった。

『オオ、ジャポネーズ!』知らない奴もからかい半分で声をかけてくる。

それでも…僕はサントスの街が気に入っていた。

むしろ、変な奴が声をかけてくれば、手を振る余裕も出来ていた。

 

もう10年近く前の話…。

 

続く