管理人のブラジル回想記

 

No33

 

ラテラウ(サイドバック)への志願。

僕は何度かサイドバックをしていた。

でも、あくまでサイドバックは人数あわせで、しょうがないからやるといった程度だった。

 

控えに回ったり、前半だけの出場とか、それは勘弁して欲しいと思っていた。

だから、別に公式戦の出場がないのなら、サイドバックでも試合に出たいと思ったのだ。

 

はっきり言います。攻撃8,ディフェンス2。

サイドバックだという自覚はありませんでした。

中盤、サイドハーフが2枚いるという感じでプレーしていました。

 

で、日本人中心の監督の、ルイジーニョに話すと、

「今日の紅白戦で見せてもらう…」

ということになり…。

 

さて紅白戦です。

僕はご存じの通り右利きですが、左のサイドバックで出場。

オーバーラップ→僕の裏のスペースを突かれる→センターバックのアレックス(ルームメイト)がカバーする…この繰り返し。

それでもルイジーニョは、僕を褒め、『これから君はラテラウでプレーしなさい』ということになりました。

 

僕は試合に出られればそれでよかったのですから。

 

その頃、ある選手がユーラカンを訪ねてきた。

ズィエウという16歳の奴だった。

デレルバのバックを片手にユーラカンの門をくぐる彼。

 

グァラニーに所属しているという。

なんと、17歳以下ブラジル代表候補!

ユーラカン出身ということだ。

 

16歳とは思えない体つき。

しかし、顔はあどけなさが残る。

 

さて、どれくらいの上手さを持っているのだろうか?

ポジションはCF。

自主トレでユーラカンの練習に参加するというので、プレーを見ることができた。

基本がしっかりしているというイメージ。しかも左利き。

 

そして紅白戦。

僕は彼と同じチーム。

彼はCFではなく、中盤で出場。

『僕がパスを待つより、僕はボールに触りたい』

その一言でポジションが決まった。

 

さて、プレーはと言うと…

キープの仕方が違う。

2人ぐらいだったら、体を入れるだけでボールを奪われない。

 

そして…ここからは事実です。

 

皆さん、イメージしてください。

右サイド、タッチライン際で二人に囲まれたズィエウ。

いつものキープでボールを奪われない。

左のサイドをオーバーラップする僕。

『ズィエ〜ウ!』大きな声で彼を呼ぶ。

しかも、僕もタッチラインいっぱいに開いていた。

僕とズィエウの目が合った。

彼はためらいもせず、得意の左足を振り抜く…。

弾丸ライナー…しかも、僕の左足にピッタリ飛んできた…。

17歳以下とはいえ、セレソンブラジレイラ…。

本物だった。

 

こういう選手をスカウトしていくクラブ。

こんな田舎町にもチャンスが広がっている…。

羨ましく思った。

 

続く