管理人のブラジル回想記

 

No41

 

ユーラカンでは、前に寝た部屋ではなく、他の部屋で寝ることになった。

新しい部屋ということではないが、逆に落ち着いた。

隣のベッドには、新しく高知から来た西本がいた。

彼はブラジルへ到着して早々に怪我をしたらしい。

 

愛媛の内藤と一緒に、夜の街を散歩する。

夜の街…と言っても、8時ぐらいだったと思う。

街の体育館、チギロンには、前のように子供達はいなくなっていた。

チギロンの前で。赤いシャツが僕。左はチームメイトのユーリ。

『オー!ジャポネーズ!』

いつものことだが、いきなり声をかけられた。

アデマールというらしい。

本人曰く、プロサッカー選手。

『俺はお前を知っている…』

僕にそう言う。本当かよ…俺はお前のこと知らねぇよ…。

で、家にコーラでも飲みに来いという。

こちらは内藤と二人。こいつは一人。

誘拐されてもいいや、別に…とばかり、着いていくとした…

※これから留学する皆さんは、絶対に真似をしないで下さい…。

 

アデマールの家は、結構大きい家だった。

『まあ、座れ…』もちろん堂々と座る。

コーラとグァラナとビールが出てきた。

僕はグァラナを飲んだ。

『ビデオを見せてやる…』彼はテレビをつけた。

彼のプレーを編集した、チームに売り込むためのビデオだった。

華麗なオーバーヘッドのゴールや、ドリブルなど、なかなかいいプレーヤーらしい。

 

そして写真を持ってきた。

その中で見覚えのあるユニフォームを着た彼を見つけた。

ジャバクアラのユニフォームだった…。

『俺がジャバクアラにいたとき、お前は一人でジュニオールの練習に出てただろ…』

なるほど!僕が気がつかなくても、彼は僕を見ていたわけだ!

何という偶然…世間は狭い…。

なんせ、ブラジルでの話ですから…。

その後、無事にユーラカンに送ってもらったのは言うまでもありません…。

最後に、『ユーラカンより、他のプロのクラブへ行きな…』とアデマールは僕に告げていた。

 

相変わらず、イタジュバは住むにはいい街だった。

 

さて、サッカーは…

少々事態が変わっていた。

監督だったルイジーニョは辞めていた。

家にも招待してくれたルイジーニョ。

彼がいないことで、試合に出られないのではないか?と不安だった。

今思えば、カテゴリーを2つに分けていたらしい。

一つはトップチーム。監督は黒人のベルメーリョ。

もう一つのサテライト的なチーム。その監督がルイジーニョだったのだ。

 

チームはトップもサテライトも無くして練習を再開していた。

ベルメーリョはほとんど話さない。

選手を選ぶことで、ほとんど指示をしているようには見えない。

しかし、ミーティングでは色々話していた。

僕はそこそこラテラウ(サイドバック)での評価をされていたらしい。

心配をする必要はなかった。

控え組とはいえ、基本的には、紅白戦にもスタートから出られた。

 

続く