管理人のブラジル回想記
No43
さて、カルナバウも終わり、僕的には、3月から移動するウニオン・クルゼイレンセに移ってからの事を考えるようになっていた。
あくまでユーラカンはアマチュア。ウニオン・クルゼイレンセはプロ…それだけでワクワクしていた。
ある日の紅白戦の後、僕は監督のベルメーリョに訴えた。
『もうラテラウではプレーしたくない。僕はメイオでプレーしたい。』
それに対して、ベルメーリョは困った顔をしていた。
練習試合の前日、ベルメーリョが珍しく向こうから話しかけてきた。
『本当にラテラウは嫌なのか…?』
はっきり答えた。
『メイオがやりたい!』
近くにいた、15歳のシャンジーニョにベルメーリョは言った。
『明日はラテラウがいない。準備するように…』
これで後には引き下がれない…。
翌日、僕は8番のユニフォームが渡されていた。
控えを覚悟していたが、ベルメーリョは僕をスタメンにした。
その中で…僕は伸び伸びプレーさせてもらった。
これがユーラカンでの最後のゲームとなった。
2月24日だった。
翌日のオフに、ズィエウの家に遊びに行った。
彼は所属するグァラニーに帰るという。
ボンフィンが彼のバックから出てきた。
『バイーアから来ている友達がいてさ…』
僕の左手に、ボンフィンを巻いてくれた。
もう、ユーラカンのあるイタジュバへは戻らない…。
2月26日の日記、
夜は蛍、昼はトンボ、夏から秋になるんだなと思う今日この頃。
1ヶ月早いね…何だかんだ言ってさ。
後6ヶ月。
カリオカというあだ名のおじさんがいた。
彼はクラブ内の雑用をしていた。
気さくで、いつも笑顔。
親指を立てて、一輪車を押す姿が忘れられない。
そんな彼が、夕食後に寮にやってきた。
少々酔った感じ…。
僕に声をかけ、こう言った。
『これから飲みに行くぞ…』
それに対して、僕は、
『どうした?話を聞かせろ…』とだけ聞いた。
カリオカは小さな声で話し出したが、どうやら奥さんとケンカしたらしい…。
体にはひっかかれた跡が!
『一晩だけ、ここで寝かせてくれ…』
『構わないよ』
そんなやりとりの後、奥の一つだけベッドのある部屋にカリオカは歩いていった。
遅くまで電気がついていたのを、僕は知っていた…。
次の日、いつものように一番早く起きた僕。
カリオカもいつものように、一輪車を押して働いていた。
もちろん、彼は親指を立ててにこっと笑った。
続く