管理人のブラジル回想記
※実話を過去の日記に基づいて回想しております。
No50
初ゴールの試合の翌日は、当然のようにオフになった。
午前中はゆっくり寝ていたけれど、午後は自主練。
その後、短期留学生の買い物につき合うことにした。
とりあえず、自分の買い物ではないのだけれど、通訳のような形で値切り交渉。
ある程度まとまった金額を落とすので、スポーツ店の店員も機嫌が良く、安くしてくれた。
『斉藤さん、こんなに値切ってもらってありがとうございます…』
まあ、そんなに値切ってないのだけれど…自分の買い物の時はもっと値切るし…。
その値切りの手口は後日…。
さて、結局日本人達で話し合った結果、クラブの練習状況や、試合もこの後沢山組んでくれるということで、このクラブに残ろうか?ということになった。
プロの大会や、ジュニオール(20歳以下)の大会にも出るということで、その可能性に賭けてみようとも考えた。
そして、短期留学生の為の送別試合がやってきた。4月2日。
対戦相手はやはり地元の強豪チーム。
もちろんアマチュアだが、試合が出来る喜びに変わりはない。
試合開始直後。
僕はといえば、ドリブルでキープして、ファウルで倒されの繰り返し。
しかし、ある意味、ファウル以外でボールを奪われることがなかったので、そういう意味では調子が良かった。
しかし、その日の日記では、
ドリブル、前へ!が課題
キープからもっとロングパスを
と書いてあった。
試合は1−3負け。
会長の粋な計らいはシュハスコ(ブラジル風焼肉)だった。
食べ放題、飲み放題。
とにかくバカ騒ぎ。
シュハスコなんか滅多に出来ない。
ユーラカンでも、大会に優勝したときの一回だけだったし。
さて、短期留学生にちょっとした意地悪をした。
ある日の夜、クラブからホテルへ送る際のことだ。
いつも明るい大通りを歩いて帰っていたのだが、そこで僕がひらめいた。
『いつもと違う道を通ろうか…』
本当に大通りから一本中へ入っただけの道。
住宅地なのだが、防犯対策のためか、夜は窓をしっかり締め切って、家の中の様子なんかわからない。
街灯の明かりだけで、人通りもない道になる。
そのころ、僕らはウニオン・クルゼイレンセにいる日本人と知られていたので、何かあったら助けてもらえるだろうと思っていた。
僕は、短期留学生の一人に言った。
僕 『こういう道で強盗って出るんだろうな…』
短期留学生 『えっ?』
僕 『ブラジルの強盗ってさ、いきなりピストルで脅すらしいよ…そのスニーカーなんかでも、狙われるんじゃないかな…』
彼の表情が変わったのがわかる。
一緒に歩いていた長期留学生は笑っている。
短期留学生 『…斉藤さん…大きい通りを歩きましょうよ…』
僕 『(微笑む僕)…まあ、何かあったらその時はその時だな…』
短期留学生 『勘弁してくださいよぉ…(半泣き状態)』
当時14歳の中学生にはキツかったかな(笑)。
続く