管理人のブラジル回想記

※実話を過去の日記に基づいて回想しております。

 

No54

 

ウニオン・クルゼイレンセでの生活が2ヶ月目に入った頃、練習中に疑問を持ったことがある。

午後の練習はほとんどがドイストッキと呼ばれるツータッチゲームだった。

 

よく日本人にはボールが回ってこないという話があった。

実際、コミュニケーションのとれない日本人は、パスが回ってこないはずだ。

決して僕はコミュニケーションがとれていなかったとは思わないし、実際パスが回ってこなかったわけでもない。

しかし、その頃持った疑問というのが、『何故ハットにはボールがあんなに回るんだろう?』だった。

日記にも書いてあることだった。

 

とにかくハットはボールに絡む。

独特のリズムを持っている。特に後方からのビルドアップからスピードアップしてシュート…という流れをツータッチ以下でできる選手だった。

パスがハットには回る、僕には回ってこない。

 

悩んでいた。

 

しかし、一つの答えが出た。

ある日の練習試合、選手が多かったこともあって、ハットは先発を遠慮した。

そして、確かそれなりの試合運びをしてリードもしていた。

 

後半途中、ハットが入ってきた。

中盤のポジション。

その途端、リズムが崩れてしまった。

 

試合後に日本人数名で話したこと。

『ハットは上手いけど、チームのリズムはハットのリズムと違うよね…』

そう、ハットはハット中心にチームを作らないと生きない選手だったのだ。

だから、ハット自身も、ハットの思い通りに他の選手が動かないと不満を漏らしてしまう。

しかし、客観的に見ると、ハットが入る方がリズムが狂う。

 

僕の悩みのはっきりとした解決には至らなかったけれど、自分のプレースタイルの中で、『仕切る』ことと『使われること』の区別をつけることができた。

両方できる選手は間違いなくいい選手だから。

 

そして…ブラジル滞在中でも、大きな事件が起きることになる。

日記には4/19となっている。

 

サンジョゼで一緒に試合をしたプロのメンバーが、遂にこちらに合流するという。

プロと練習…期待は大きかった。

 

この時は期待しかなかったのだが。

 

続く