管理人のブラジル回想記

※実話を過去の日記に基づいて回想しております。

 

No55

 

プロの選手が20名弱、合宿として合流する。

カンピオナート・パウリスタ(サンパウロ州選手権)の準備。

ここでアピールできれば、プロ選手になれるんじゃないか…そんな期待。

 

前日にちょっとしたトラブル。

会長のアンドレとハットが話し合っていた。

どうやら給料の未払いに対して、ハットが直談判をしていたらしい。

プロの選手と合流する、その前日だ。

ハットの出した結論は、『数日旅行に行ってくる』だった。

要するに、練習に参加しないということだ。

笑ってしまうのは、会長も給料を払っていないわけで、ハットの『わがまま』を許してしまった!

 

さあ…前途多難…。

 

4/19、選手達がやってきた。

プロ選手らしい体つきの奴らばかり。

 

さて、練習を開始。

 

ポジションを聞かれ、メイオ・エスケルドだと答えた僕。

俗に言う10番のポジション。監督の顔色が変わる。

10番はハットとしか考えていなかったらしい。

今思えば、この時から僕は監督の構想から外れていた。

 

戦術練習の中で、控えチームで3対3の中盤の攻防。

はっきり覚えているが、パスもしっかりつないだし、むしろいいプレーをしたと思っていた。

他の日本人選手も『いいっすねぇ…サイトウサン…』と言ってくれたのを覚えている。

そして紅白戦で午前中は終了した。

 

午後はFK等の確認。

明らかに人数あわせで使われた感じ。

まあしょうがない…。

監督がまた、必要以上に熱い人で、FKの練習の際にふざけたブラジル人選手に対して、腕立て伏せをもの凄い形相で命じた。

ジェフの監督のオシムが『走れ!』とやるような感じだ。

プロの練習の緊張感を初めて感じた瞬間だった。

 

夜は隣接する体育大と練習試合だという。

1日3回の練習?ハードだ!

 

そして練習試合。

日本人4名は勿論ベンチスタート。

やはり大学生では格下。

スコアをどんどん広げていく。

 

後半途中になり、林が呼ばれた。

彼は右のサイドバック。

数分後にヴォランチの北西が呼ばれた。

さらに数分後呼ばれたのはFWの小高。

 

僕は一番最後。

気にくわなかったのは、日本人選手が呼ばれるたびに通訳として色々使われたこと。

結局一番最後に呼ばれ、

『シンプルにツータッチ以内にボールをつなげ…』

僕が感じたのは、『うるせえよ…』だった。

 

そして…忘れもしないファーストタッチ。

迷わず僕はドリブルした。

しかも…密集地帯で、しかも相手が足が止まっていたこともあり、3人を置き去りにした!

 

僕にしてはしてやったりだった。

 

その後も記憶では、数回1対1を仕掛けた。

 

試合後、監督は僕に話しかけなかった。

 

続く