管理人のブラジル回想記

※実話を過去の日記に基づいて回想しております。

 

No61

 

気合いを入れて臨んだ開幕戦。

その結果がレッドカード。

大きな蜂の巣のあるクラブハウスで、誰よりも早く着替えざるを得ない自分…。

 

試合は0−0で終わった。

10人で戦わざるを得ない状況を作った責任は大きい。

むしろ…引き分けで終わってよかった。

 

宿舎に帰り、何故か僕のところに女の子が訪ねてきた。

陸上クラブの女の子である…参った。

僕は、『スパイク磨かなきゃいけないから、ごめん』とか、苦しい言い訳をした。

レッドカードもらった直後だし、気分のいいわけがない。

何故か女の子は石鹸とブレスレッドを置いていった。

プレゼントなのだろうが…受け取るわけにはいかず、結局部屋の片隅に置きっぱなしとなってしまったのだけれど。

とにかく悔しくてしょうがなかった。

自然と器具も少ない筋トレルームに足を運ぶ自分がいた…。

 

翌日、自主練は午前中からダッシュを繰り返した。

普段の木曜日にするメニューと一緒。

 

2日後に、リーグ戦とは別に行われるトーナメント戦があると知らされた。

リーグ戦のカードの累積は関係ないため、僕は出場できるという。

しかし…気分は乗っているわけではなかった。

 

当日。

朝から会場はにぎわっていた。

日本では行われないような大会形式。

30分1本で試合は行われ、トーナメント形式だという。

 

中途半端なウォーミングアップから試合。

実際にリズムをつかむ前にタイムアップ。

勝負はPK戦へ。

僕はなんと4人目に順番が回ってきた。

ブラジル特有の野次はブーイングへと変わる…。

助走から…

左へ蹴ったボールは、GKに弾き出された…。

やっちゃった…その場に倒れ込んだ僕。

…ブラジルでPKを外すのも経験だよ…とか、自分に言い聞かせようとして、立ち上がろうとした時、味方のGKマルセーロが走り寄ってきた。

『もう一回らしいぜ!お前はついてるな…』

『?』

要するに、僕が蹴る前にGKが飛んだという。

…こういうこともあるんだな。

 

落ち着いて蹴り直したPKは、ゴール右に吸い込まれていった。

 

残念ながら、その後6人目のキッカーが外し、僕らは1回戦で姿を消すことになった。

午後は…うるさい試合の声も聞こえないぐらいに、昼寝したのを覚えている。

 

それよりリーグ戦の出場停止が何試合になるのだろう?

そんなことが気になっていた。