管理人のブラジル回想記

※実話を過去の日記に基づいて回想しております。

 

No65

 

6/1、練習試合が組まれることになっていた。

 

しかし、朝食を終えてすぐ、ハットが会長の家に呼ばれた。

帰ってくると、『今日の試合はなくなったらしい』という。

 

自主練しようか…日本人選手達は、思い思いの自主練に励んでいた…はずだった。

昼前に、ハットが走ってピッチに現れた。

『大変だ。試合やるぞ…』

『は?』

近くにいた小高と僕は顔を見合わせた。

急いで体育館で自主練をしていた孝と林を呼びに行く。

林は明らかに不機嫌な顔をして、『ふざけんなよ…』と言った。

二人はフィジカルトレ、走り込んで消耗しきっていたのだ…。

 

とにかく、僕を含めて日本人4人はやるしかなかった。

試合開始時刻も午後2時。

太陽ギラギラ…ブラジル特有の刺すような暑さ。

やるしかない。

 

案の定、ドリブルは取られるし、散々だった。

他の選手達も疲労の色が見える。

そんななか、前半を1−0でリードしていた。

ここまで来ると意地だった。

 

後半、足が動かない中、とにかく気合いだった。

そして、ペナルティエリアの右側でパスを受けた僕。

右サイドから、はっきりと呼ぶ声がした。

林だった。

得意のスルーパス…見事に林に通った…。

 

林はゴール左隅に叩き込んでいた。

後は抱き合って喜ぶだけ。

 

2−0。

たぶんブラジルで試合した中で、一番暑い中での試合。

終わった後、飲んだ水が美味かった。