管理人のブラジル回想記

※実話を過去の日記に基づいて回想しております。

 

No71

 

サンセバスチャンからはその日の深夜に戻った。

サンジョゼからのバスでは、気がついたら眠ってしまっていた。

クルゼイロの街に着き、夜の街を歩く。

タクシー等も使うわけではなく、30分ほどの道のりをヤマさんと小高と3人で歩いた。

 

平和な街だ。

襲われるような恐怖もない。

 

何故だかわからないが、知らない連中から、僕の名前を呼ばれることも多い。

僕は彼らのことを知らない。

別に大した選手でもない僕だが、チームでは10番のシャツをポジションの関係で渡されるために、どうしても注目を浴びてしまっていた。

 

翌日の練習では、身体がいうことをきかない…と日記に記してあった。

 

6/15、午後に練習試合。

試合は1−3で負けた。

身体が重い中、知り合いの審判だったためにコミュニケーションは取れていたはずだったが、後ろからのファウルと、時間稼ぎの大きなクリアでイエローカードを2枚。

要するに退場…うーん、いいことではないな…。

 

翌日は、3時間ほどのクーニャという街で、その街の選抜との親善試合が行われることになっていた。

夕方、食事前にハットが頭を悩ませていた。

 

『セレソン・クーニャは、UCE(僕らのチーム)がプロ選手で試合をしに来ると思っている。変な試合は出来ない…』

メンバーの中で、プロ選手は3名、昨年カンピオナート・パウリスタのジュニオール(20歳以下)を戦った選手が4名…まあ、試合にはなるだろう。

日本人選手が4名入れば11人になる。

それにハットがアマドールのそこそこの選手を連れてきた。

 

1時間後ぐらいに会長がクラブにやって来た。

『ジャポネーズ4人をスタメンで…』

僕の耳にはそう聞こえていた。

 

やってやろうじゃん。

 

気持ちだけはまだ死んでいなかった。