管理人のブラジル回想記

※実話を過去の日記に基づいて回想しております。

 

No79

7/21、公式戦。

相手が格下ということもあり、終始圧倒。

スコアは3−0。後半にちょっとした問題が起こる。

ポンタ・エスケルダ(左ウイング)のホナウドにパスを供給していた、メイア・エスケルダ(中盤の左)の僕と、ラテラウ・エスケルド(左のサイドバック)のアレッシャンドレに対して、ホナウドはパスを出さない。

 

一番はじめにキレたのは僕だった。

『ホナウド、いい加減にしろ!』

ドリブルで仕掛けるだけのホナウドに対して、僕は日本語で怒鳴ってしまった。

その後、ポルトガル語で『何故パスを出さない?』と叫ぶ。

ホナウドは無視した。

それに対し、アレッシャンドレは僕にはっきり聞こえるように言った。

『ホナウドは、俺にもパスを出さないぜ!なんてこった!』

一触即発のムード。

 

そんなピリピリしたムードのところへ、観客からの野次がはっきり聞こえた。

『おい日本人…』

うるせぇなあ…。

そして、僕がトラップミスした途端、その太ったブラジル人の観客が、『日本人だからしょうがない…』

と言ったのが聞こえたから、僕はプッツンしてしまった。

ポルトガル語のスラングで応戦。

それに対して、そいつも更に野次を飛ばしてくる。

『試合が終わるまでそこにいろ!』

指を指してはっきり僕は言った。

 

試合終了と同時に、スタンドへ向かって走った。

『待て、この野郎!』

その観客は、捨てぜりふのように言った。

『ブラジルのサッカーを覚えて帰れ、日本人』

何も言わずにフェンスをよじ登ろうとする僕。

逃げるように、その観客は、

『ブラジルにサッカーを覚えに来たんだろ?』と言い、出口へ向かった。

UCEの会長、アンドレが気がついたらフェンスの下にいた。

『…降りてこいよ…言いたい奴には言わせておけ…』

 

頭に上った血が、一瞬にして引いていった。

 

ロッカー室でシャワーの順番待ちのアレッシャンドレが言った。

『ホナウドは前から自分勝手だ。パスを受けたら戻さない。』

 

彼は気がついたらチームの得点王だった。

確かに良い選手だった。

でも、チームの和を乱しているのは間違いなかった。

 

しかし、答えは出なかった。