管理人のブラジル回想記

No9

 

SANTISTA(サンチスタ)。

サントスFCのサポーターのこと。

サントスの試合を見て、僕はサンチスタになっていた。

日本の試合なんか、本当にままごとだった。

これが本物かと思うと、凄く情けなかった。

 

練習もなく、ホテルで暇している僕をジョルジさんが連れだしてくれた。

まず着いたのは青果市場だった。

日系人が目立つ。

ほとんどの人は日本語を話せない。

 

日系移民の方々は、完全にブラジル人になっている。

 

そして市場の片隅に見つけたのは、一つの石碑。

『皇太子殿下来伯記念碑』

現在の天皇陛下が、皇太子だった頃ブラジルを訪問した際、この市場に立ち寄ったらしい。

遠いようで近く、近いようで遠い日本。

 

公園で、ボールを蹴るブラジル人達。

初めて見る光景。

ジョルジさんと眺めていると、『オー、ジャポネーズ!』

一緒に蹴らないか?ということらしい。

 

とにかく楽しかった。

彼らは本当にサッカーが好きなんだなと思った。

気がついたら…みんないい表情だった。

 

『いつでもここにいるから、いつでもおいで』

二度とその公園に行くことはなかったけれど、その言葉が嬉しかった。

 

1995年5月1日。

アイルトン・セナの一周忌だった。

 

続く